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125 第114話

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「内紛でしょうか。」
「小寺三佐、それは私も考えていた。天宮憲行はオフラーナ派のツヴァイスタンシンパ。一方、妻の天宮ゆかりは人民軍派のツヴァイスタンシンパ。同じシンパといえど出自が違う。このふたつ、犬猿の仲だ。」
「その通りです、赤石隊長。オフラーナ派の下間芳夫の影響からツヴァイスタンにのめり込んでいった憲行と違って、ゆかりは生粋の活動家。しかも過激派です。ゆかりは夫を隠れ蓑にして活動に明け暮れていました。」
「そうだ。あの二人は見せかけの夫婦。その証拠にゆかりはしょっちゅう外出していたと聞く。」
「警察が聞き込みに行ったときも、ゆかりはいなかったと情報が入っています。」
「うん。」
「大方、活動のための外出でしょう。遺体が発見された熨子山ですが、ここの中腹にある住宅地の中に人民軍派のアジトがあります。」
「以前から金沢の特務機関がマークしていたやつか。」
「はい。ヤメ警の矢高慎吾も出入りする場所です。」
「人民軍派の日本での主な活動目的は鍋島能力の軍事転用。その管理をしているのが天宮憲行の妻である天宮ゆかり。」
「今回、公安特課が天宮の家に乗り込んで聞き込みをしました。天宮憲行は鍋島能力研究の本丸。完全に天宮は疑いがかけられています。それを知ったゆかりは即座に夫を消した。人民軍派のネットワークをもって。」
「殺しの手口が慣れている。プロの仕業と見て間違いない。」
「はい。人民軍派といえばアルミヤプラボスディアあたりの仕業の可能性が高いでしょう。」
「だな。」
「しかしその天宮憲行を消すことを断行したゆかりも今朝遺体で発見されました。しかも見つかりやすい形で。」
「わざとそうしたんだろう。」
「おそらく。」
「なぜか。」
「誰も入り込まない山奥に遺体を捨てる。これならゆかりは憲行と一緒に口封じされたと言うことで片づきます。ですが今回はあえて見える形でゆかりの遺体を埋めた。オフラーナ派である憲行は人民軍派であるゆかりによって損切りされた。その報復として今度はオフラーナ派の何者かが人民軍派のゆかりを見せしめに殺した。」
「いや違う。」
「と、言いますと?」
「矢高だ。」
「矢高が?」
「そうだ。おそらく今回の天宮ゆかり殺しは矢高によるもの。オフラーナ派の仕業と見せかけてゆかりを粛清した。奴はこちらの存在を認識している。故に我々を撹乱するためにゆかりをそうやって始末したと俺は考える。」
「なるほど。ご明察です。」
「にしてもオフラーナ派と人民軍派の鍋島能力をめぐる仁義なき抗争。それをこの日本という場所で繰り広げるというのはどうにかならないものか。」
「なりませんな。警察だけではどうにもならん規模です。マフィアやヤクザの抗争とわけが違います。」
「迷惑以外のなにものでもない。」
「おっしゃるとおりです。これもMKウルトラの研究がツヴァイスタンという貧困国ではできないことから来ます。」
「なぜこんなに胡散臭く、かつ実用化の可能性が低い研究をやりたがるんだツヴァイスタンは。当のアメリカも、それが流れついたロシアも結局価値なしと見捨てたのにだ。」
「それはちょっと違うかと。」
「違う?」
「はい。」
「どう違う。」
「アメリカは確かにMKウルトラの研究を捨てた。しかしロシアはどうでしょう。ウルトラが流れ着いたときはまだあそこはソ連でした。ソ連崩壊が研究を諦めさせたに過ぎません。ツヴァイスタンは旧ソ連。鍋島研究を行っていた元ソ連の研究者は皆、ツヴァイスタンに行きました。ロシア連邦としては鍋島研究は不要なのでしょうが、ソ連は未だその実用化を諦めていないと考えたほうが良いかと。」
「確かにそうかもしれんな。」
「御存知の通り、ツヴァイスタンの経済状況はひどい。その中でこの手のモノになるかどうかもわからない研究を進めることに批判的な勢力がいます。」
「ツヴァイスタン外務省だな。」
「いかにも。この鍋島能力の研究を主導するのはあくまでもツヴァイスタン内務省警察部警備局、通称オフラーナです。オフラーナは瞬間催眠を実用化し、自国の反体制派の粛清に利用しようとしています。人民軍派は核を持ってはいますが、核はあくまでも抑止力としてか使用できないことを彼らは知っています。今あの国の軍に必要なのは通常兵器の充実です。しかしツヴァイスタン人民軍の装備は旧ソ連のものを未だに使用している状況です。いざ紛争や戦争となれば火力の面で劣る。したがってツヴァイスタン人民軍は非対称戦を展開することを余儀なくされるのですが、そこに瞬間催眠のような力があれば、非常に有効です。」
「相手側の兵士を簡単にこちら側に取り込めるからな。」
「はい。そのような力を軍事転用できるとなれば、無敵のゲリラ部隊の誕生です。鍋島能力はある意味、核よりも実用的で脅威となる兵器となります。」
「もしもその力をツヴァイスタン人民軍が手に入れたら、世界のパワーバランスが崩れる。」
「おっしゃるとおりです。ツヴァイスタン人民共和国の現首脳部が望むのは現体制の保持です。これが鍋島能力を手に入れてしまうことで、確実に自国を取り巻く環境が変化します。隣接するロシア、中国といった強大な国家からの干渉を招くこととなるでしょう 。」
「世界の覇権を得られるかもしれない能力を手に入れたがために、早々に友好国から見切りをつけられ、自滅の道を歩むか。」
「とにかくツヴァイスタン外務省には頑張っていただく他ありません。」
「そうだな。」
「ところで赤石隊長。」
「なんだ。」
「ベネシュの件です。奴が金沢で存在が確認されており、かつ隊長の見立ての通り、矢高の活動が活発化しているとすると、逼迫してるのではないでしょうか。」
「何がだ。」
「何らかの実力行動がある危険性です。」
赤石は腕を組んだ。
「単なる過激派のテロ行為で留まる可能性がありますが、ややもすれば、アルミヤプラボスディアのようなほぼ軍事組織ともいえるような連中による作戦行動が取られる可能性もあります。」
「たしかに小寺三佐の言うことももっともだ。しかし我々はアルミヤプラボスディアがそのような作戦行動をとるという確定的な情報を得ているわけではない。現段階では単なる憶測。憶測だけで行動するわけにはいかん。」
「しかし事が起きてから対応していては、全てが後手に回ります。せめて予防的配備だけでもできないでしょうか。」
「水際対策はあくまでも警察の管轄だ。我々の範疇ではない。」
「ですから予防的配備です。もしものときに即応できる体制を整えるだけです。」
席を立ちコツコツという足音。
外を眺める赤石の視線の先には、訓練に勤しむ隊員たちの姿があった。
「先の東倉病院の件もあります。あれは公安特課の松永課長から化学兵器によるテロの危険性に備えるようにとの働きかけが国家安全保障局にあったから、我々が即応体制を整えることができたのです。」
「しかし警察OBに被害者が出た。」
「だから今回こそはそのようなことは避けたいんです。背後にアルミヤプラボスディアという民間軍事会社がおり、かつその精鋭部隊トゥマンのトップ、マクシーミリアン・ベネシュも金沢にいる。一旦事が起こるとその被害はノビチョク事件の比ではないことも想定しておかねばなりません。」
コツコツと音を鳴らしていた赤石の足は止まった。
「まさかトゥマンがすでに着上陸している?」
「わかりません。が、想定しておいて損はありません。最近は不審船の漂着が多発していますので。」
「すぐに司令官の判断を仰ぐ。」
「ありがとうございます。」
「小寺三佐は直ちに金沢に行け。現地特務と合流しろ。」
「はっ。」
「いくらトゥマンが精鋭部隊だとしても、現地の有力な協力者がいないことには効率的な部隊運用はできん。矢高は我が国におけるトゥマンの目。矢高の動きを最優先で監視しろ。」
「了解。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
着信音
「はい。」
「俺だ。」
「あ…。」
「あれから動きはあったか。」
電話を耳に当てながら男は周囲を見る。
現在時刻は朝の7時半。
ゴミ捨て場に自宅のゴミを出そうと外に出た瞬間にそれはかかってきた。
周りに人影らしきものはない。
彼は続けた。
「公安特課の相馬と岡田。このふたりがウチの店に来てからは何もありません。」
「そうか。」
「例の看護師は。」
「以後自宅待機のようです。」
「仁川は。」
「連絡はありません。」
「片倉京子は。」
「あれからうちの店には来ていません。」
「オフラーナは。」
「ヤドルチェンコからコンタクトがありました。」
「どういった?」
「ブツを隠すため店を借りたいと。」
「ブツ?」
「はい。」
「なんだそれは。」
「おそらく金曜に予定されているあれに関するものかと。」
「火器類だな。」
「たぶん。」
「いいだろう。好きにさせてやれ。」
「無効化しますか。」
「いや。見守るんだ。」
「しかしこのままだと、奴らにいいようにやられます。」
「それでいいんだ。」
「…そうですか。」
「いいか。何でもかんでもドンパチやる時代は終わったんだ。好きなようにやらせてやれ。最終的に俺らのものになりさえすればいい。オフラーナはそのままで行け。」
「わかりました。」
「ただひとつだけ気をつけてくれないか。」
「なんでしょう。」
「自衛隊だ。」
「自衛隊?」
「そうだ。」
「自衛隊がなぜ?」
「あいつらはあいつらで情報部隊を持っている。」
「自衛隊の情報部隊?」
「ああ。これは公安よりも目立たず厄介だ。しかもあいつらは警察よりも作戦や火器類に詳しい。だからヤドルチェンコらのブツの管理は十分に注意しろ。」
「わかりました。」
「良くも悪くもボストークはいろんな人間が出入りする。全員が諜報員だと思って対応してくれ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【Twitter】
https://twitter.com/Z5HaSrnQU74LOVM
ご意見・ご感想・ご質問等は公式サイトもしくはTwitterからお気軽にお寄せください。
皆さんのご意見が本当に励みになります。よろしくおねがいします。
すべてのご意見に目を通させていただきます。
場合によってはお便り回を設けてそれにお答えさせていただきます。
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「小寺三佐、それは私も考えていた。天宮憲行はオフラーナ派のツヴァイスタンシンパ。一方、妻の天宮ゆかりは人民軍派のツヴァイスタンシンパ。同じシンパといえど出自が違う。このふたつ、犬猿の仲だ。」
「その通りです、赤石隊長。オフラーナ派の下間芳夫の影響からツヴァイスタンにのめり込んでいった憲行と違って、ゆかりは生粋の活動家。しかも過激派です。ゆかりは夫を隠れ蓑にして活動に明け暮れていました。」
「そうだ。あの二人は見せかけの夫婦。その証拠にゆかりはしょっちゅう外出していたと聞く。」
「警察が聞き込みに行ったときも、ゆかりはいなかったと情報が入っています。」
「うん。」
「大方、活動のための外出でしょう。遺体が発見された熨子山ですが、ここの中腹にある住宅地の中に人民軍派のアジトがあります。」
「以前から金沢の特務機関がマークしていたやつか。」
「はい。ヤメ警の矢高慎吾も出入りする場所です。」
「人民軍派の日本での主な活動目的は鍋島能力の軍事転用。その管理をしているのが天宮憲行の妻である天宮ゆかり。」
「今回、公安特課が天宮の家に乗り込んで聞き込みをしました。天宮憲行は鍋島能力研究の本丸。完全に天宮は疑いがかけられています。それを知ったゆかりは即座に夫を消した。人民軍派のネットワークをもって。」
「殺しの手口が慣れている。プロの仕業と見て間違いない。」
「はい。人民軍派といえばアルミヤプラボスディアあたりの仕業の可能性が高いでしょう。」
「だな。」
「しかしその天宮憲行を消すことを断行したゆかりも今朝遺体で発見されました。しかも見つかりやすい形で。」
「わざとそうしたんだろう。」
「おそらく。」
「なぜか。」
「誰も入り込まない山奥に遺体を捨てる。これならゆかりは憲行と一緒に口封じされたと言うことで片づきます。ですが今回はあえて見える形でゆかりの遺体を埋めた。オフラーナ派である憲行は人民軍派であるゆかりによって損切りされた。その報復として今度はオフラーナ派の何者かが人民軍派のゆかりを見せしめに殺した。」
「いや違う。」
「と、言いますと?」
「矢高だ。」
「矢高が?」
「そうだ。おそらく今回の天宮ゆかり殺しは矢高によるもの。オフラーナ派の仕業と見せかけてゆかりを粛清した。奴はこちらの存在を認識している。故に我々を撹乱するためにゆかりをそうやって始末したと俺は考える。」
「なるほど。ご明察です。」
「にしてもオフラーナ派と人民軍派の鍋島能力をめぐる仁義なき抗争。それをこの日本という場所で繰り広げるというのはどうにかならないものか。」
「なりませんな。警察だけではどうにもならん規模です。マフィアやヤクザの抗争とわけが違います。」
「迷惑以外のなにものでもない。」
「おっしゃるとおりです。これもMKウルトラの研究がツヴァイスタンという貧困国ではできないことから来ます。」
「なぜこんなに胡散臭く、かつ実用化の可能性が低い研究をやりたがるんだツヴァイスタンは。当のアメリカも、それが流れついたロシアも結局価値なしと見捨てたのにだ。」
「それはちょっと違うかと。」
「違う?」
「はい。」
「どう違う。」
「アメリカは確かにMKウルトラの研究を捨てた。しかしロシアはどうでしょう。ウルトラが流れ着いたときはまだあそこはソ連でした。ソ連崩壊が研究を諦めさせたに過ぎません。ツヴァイスタンは旧ソ連。鍋島研究を行っていた元ソ連の研究者は皆、ツヴァイスタンに行きました。ロシア連邦としては鍋島研究は不要なのでしょうが、ソ連は未だその実用化を諦めていないと考えたほうが良いかと。」
「確かにそうかもしれんな。」
「御存知の通り、ツヴァイスタンの経済状況はひどい。その中でこの手のモノになるかどうかもわからない研究を進めることに批判的な勢力がいます。」
「ツヴァイスタン外務省だな。」
「いかにも。この鍋島能力の研究を主導するのはあくまでもツヴァイスタン内務省警察部警備局、通称オフラーナです。オフラーナは瞬間催眠を実用化し、自国の反体制派の粛清に利用しようとしています。人民軍派は核を持ってはいますが、核はあくまでも抑止力としてか使用できないことを彼らは知っています。今あの国の軍に必要なのは通常兵器の充実です。しかしツヴァイスタン人民軍の装備は旧ソ連のものを未だに使用している状況です。いざ紛争や戦争となれば火力の面で劣る。したがってツヴァイスタン人民軍は非対称戦を展開することを余儀なくされるのですが、そこに瞬間催眠のような力があれば、非常に有効です。」
「相手側の兵士を簡単にこちら側に取り込めるからな。」
「はい。そのような力を軍事転用できるとなれば、無敵のゲリラ部隊の誕生です。鍋島能力はある意味、核よりも実用的で脅威となる兵器となります。」
「もしもその力をツヴァイスタン人民軍が手に入れたら、世界のパワーバランスが崩れる。」
「おっしゃるとおりです。ツヴァイスタン人民共和国の現首脳部が望むのは現体制の保持です。これが鍋島能力を手に入れてしまうことで、確実に自国を取り巻く環境が変化します。隣接するロシア、中国といった強大な国家からの干渉を招くこととなるでしょう 。」
「世界の覇権を得られるかもしれない能力を手に入れたがために、早々に友好国から見切りをつけられ、自滅の道を歩むか。」
「とにかくツヴァイスタン外務省には頑張っていただく他ありません。」
「そうだな。」
「ところで赤石隊長。」
「なんだ。」
「ベネシュの件です。奴が金沢で存在が確認されており、かつ隊長の見立ての通り、矢高の活動が活発化しているとすると、逼迫してるのではないでしょうか。」
「何がだ。」
「何らかの実力行動がある危険性です。」
赤石は腕を組んだ。
「単なる過激派のテロ行為で留まる可能性がありますが、ややもすれば、アルミヤプラボスディアのようなほぼ軍事組織ともいえるような連中による作戦行動が取られる可能性もあります。」
「たしかに小寺三佐の言うことももっともだ。しかし我々はアルミヤプラボスディアがそのような作戦行動をとるという確定的な情報を得ているわけではない。現段階では単なる憶測。憶測だけで行動するわけにはいかん。」
「しかし事が起きてから対応していては、全てが後手に回ります。せめて予防的配備だけでもできないでしょうか。」
「水際対策はあくまでも警察の管轄だ。我々の範疇ではない。」
「ですから予防的配備です。もしものときに即応できる体制を整えるだけです。」
席を立ちコツコツという足音。
外を眺める赤石の視線の先には、訓練に勤しむ隊員たちの姿があった。
「先の東倉病院の件もあります。あれは公安特課の松永課長から化学兵器によるテロの危険性に備えるようにとの働きかけが国家安全保障局にあったから、我々が即応体制を整えることができたのです。」
「しかし警察OBに被害者が出た。」
「だから今回こそはそのようなことは避けたいんです。背後にアルミヤプラボスディアという民間軍事会社がおり、かつその精鋭部隊トゥマンのトップ、マクシーミリアン・ベネシュも金沢にいる。一旦事が起こるとその被害はノビチョク事件の比ではないことも想定しておかねばなりません。」
コツコツと音を鳴らしていた赤石の足は止まった。
「まさかトゥマンがすでに着上陸している?」
「わかりません。が、想定しておいて損はありません。最近は不審船の漂着が多発していますので。」
「すぐに司令官の判断を仰ぐ。」
「ありがとうございます。」
「小寺三佐は直ちに金沢に行け。現地特務と合流しろ。」
「はっ。」
「いくらトゥマンが精鋭部隊だとしても、現地の有力な協力者がいないことには効率的な部隊運用はできん。矢高は我が国におけるトゥマンの目。矢高の動きを最優先で監視しろ。」
「了解。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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「はい。」
「俺だ。」
「あ…。」
「あれから動きはあったか。」
電話を耳に当てながら男は周囲を見る。
現在時刻は朝の7時半。
ゴミ捨て場に自宅のゴミを出そうと外に出た瞬間にそれはかかってきた。
周りに人影らしきものはない。
彼は続けた。
「公安特課の相馬と岡田。このふたりがウチの店に来てからは何もありません。」
「そうか。」
「例の看護師は。」
「以後自宅待機のようです。」
「仁川は。」
「連絡はありません。」
「片倉京子は。」
「あれからうちの店には来ていません。」
「オフラーナは。」
「ヤドルチェンコからコンタクトがありました。」
「どういった?」
「ブツを隠すため店を借りたいと。」
「ブツ?」
「はい。」
「なんだそれは。」
「おそらく金曜に予定されているあれに関するものかと。」
「火器類だな。」
「たぶん。」
「いいだろう。好きにさせてやれ。」
「無効化しますか。」
「いや。見守るんだ。」
「しかしこのままだと、奴らにいいようにやられます。」
「それでいいんだ。」
「…そうですか。」
「いいか。何でもかんでもドンパチやる時代は終わったんだ。好きなようにやらせてやれ。最終的に俺らのものになりさえすればいい。オフラーナはそのままで行け。」
「わかりました。」
「ただひとつだけ気をつけてくれないか。」
「なんでしょう。」
「自衛隊だ。」
「自衛隊?」
「そうだ。」
「自衛隊がなぜ?」
「あいつらはあいつらで情報部隊を持っている。」
「自衛隊の情報部隊?」
「ああ。これは公安よりも目立たず厄介だ。しかもあいつらは警察よりも作戦や火器類に詳しい。だからヤドルチェンコらのブツの管理は十分に注意しろ。」
「わかりました。」
「良くも悪くもボストークはいろんな人間が出入りする。全員が諜報員だと思って対応してくれ。」
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