Jennykaede 公开
[search 0]
更多
Download the App!
show episodes
 
Loading …
show series
 
天声人语 12/2 エチオピアの軍事衝突 米国の大統領だったオバマ氏がノーベル平和賞に選ばれたとき、世界各地からの反応を紙面に載せるべく外電を探したことがある。褒めそやす言葉ばかりのなか、ポーランドのワレサ氏だけは違った▼ 时任美国总统的奥巴马获******时,为了在报纸上登载世界各地对此事的看法,我曾查找过国外通讯社的电讯。在一片赞誉声中,唯独波兰的莱赫·瓦文萨给出了不同评价。 自主管理労組「連帯」を率いた抵抗運動が評価され、かつて平和賞を受けたその人の言葉は「早すぎる。彼はまだ何もしていないじゃないか」。オバマ氏の受賞理由は「核なき世界」を目指す理念と取り組みだったが、結局尻すぼみとなり、ワレサ氏の危惧(きぐ)は的中した▼ 曾领导独立自治工会“团结工会”进行抗议罢工运动的莱赫·瓦文萨也是…
  continue reading
 
天声人语 12/1 欄干のない橋 目の不自由な人にとって、鉄道のホームというのは「欄干のない橋」だ。よく言われる例えである。そんな怖い橋を杖(つえ)だけに頼って歩く。ひんぱんに列車が来る駅であれば、危険さは橋どころではないかもしれない▼ 我们常会听到这样的说法:“于失明者而言,铁路站台就像一座没有护栏的桥”。失明者仅凭一根手杖便在如此令人心惊胆战的“桥”上行走,若他们身处一个列车频繁来往的站台,则其危险性或许远非桥可比拟。 痛ましい事故がまた起きてしまった。おととい東京都内の地下鉄の駅で、視覚障害のある男性がホームから転落し、電車にはねられ亡くなった。ホームドアがすでに設けられ、あと3カ月ほどで運用が始まるところだったという▼ 令人痛心的事故再次发生。前天,在东京某地铁站,一位失明的男子从站…
  continue reading
 
天声人语 11/30 ハンマーの季節 新型コロナウイルスへの構え(かまえ)として「ハンマー&ダンス」という言葉がある。米国発の言い回しのようで、移動制限などの強力な対策を、ハンマーを打ち下ろすことに例えた。ウイルスをガツンとたたく感じだ▼ “hammer&dance”(重锤与舞蹈)是一种针对新冠病毒的防控措施。据说此说法来源于美国,将控制外出等强有力的防疫措施比作用锤子猛烈敲打,给人一种狠狠地重击病毒的感觉。 それで感染が少し落ち着いたら、感染防止と社会経済活動を両立させていく。言わばウイルスとダンスをするようなものである。この冬、日本はどうやらダンスの季節が終わり、再びハンマーの出番となった▼ 随后,等疫情趋于稳定,便采取一边防疫、一边重启社会经济活动的“舞蹈”措施。可以说这个阶段就像是与…
  continue reading
 
天声人语 11/29 ヒット商品「再放送」 毎年この時期に、その年の商品や出来事を振り返る「ヒット商品番付(ばんづけ)」なるものが発表される。今年、SMBCコンサルティングが東西(とうざい)の横綱(よこづな)に選んだのは「オンライン生活」「感染予防グッズ」と、順当(じゅんとう)なところだ。へえと思ったのは西前頭(にしまえがしら)2枚目の「再放送・再上映」である▼ 每年这个时候,都会有多个平台公布本年度“人气商品排行榜”,回顾过去一年中的畅销商品和发生的事件。今年,在SMBC咨询公司(日本三井住友银行子公司)公布的榜单中,东西横纲(第1第2位)依次为“线上生活”和“防疫商品”,这个结果是理所当然的。而位列西前头2(第12位)的是“重播与重映”,这令人颇为意外。 コロナ下の撮影自粛により、往年の…
  continue reading
 
天声人语 11/28 イチョウの杜を歩く 全米図書賞を翻訳部門で受賞した柳美里さんの小説『JR上野駅公園口』の主人公は、昭和一桁生まれのカズさん。高度成長期に福島県から出稼ぎで上京した******************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************…
  continue reading
 
天声人语 11/27 矢口高雄さん逝く レスラーまがいの覆面(ふくめん)をつけて連戦連勝(れんせんれんしょう)する力士「無敵」。漫画家矢口高雄さんが銀行員時代に描いた第1作の主人公だ。漫画誌に投稿するもボツに。理由を尋ねると編集長は「絵が下手だから」。すっかり自信を失ったという▼ 漫画家矢口高雄在银行就职时画了他人生中的第一部作品,作品主人公“无敌”面戴仿摔跤选手的蒙布,是一名战无不胜的力士。他向漫画杂志投了稿,最后却石沉大海,向编辑询问理由后,也只得到一句“画的太烂了”的回复,使他信心尽失。 奥羽(おうう)山脈に抱かれた秋田県の旧西成瀬村生まれ。釣りと漫画が好きだった。中学卒業時、東京のブラシ工場への集団就職が内定したが、恩師が両親を説得してくれて高校へ。卒業して地元の銀行に職を得る▼ 矢…
  continue reading
 
天声人语 11/26 コロナ遺産 政府が全世帯に配ったいわゆる「アベノマスク」と、思わぬところで再会した。福島県立博物館の倉庫だ。収められていた白い箱には「新型コロナウイルス感染症関係資料」の文字。博物館では2月末から身近(みぢか)な資料を収集(しゅうしゅう)してきた▼ 没想到,再次看到政府分发给每个家庭的“安倍口罩”,竟然是在福岛县立博物馆的仓库里。口罩收藏在白色的箱子内,箱子上面写着“****相关资料”。这家博物馆从2月底开始收集身边的资料。 箱には、美術展中止の案内はがき、疫病よけの妖怪アマビエの新作だるま。地元の酒蔵(さかぐら)が急きょ製造した消毒用アルコール入りの酒瓶(さかびん)もある。学芸員(がくげいいん)の筑波匡介(つくばただすけ)さん(47)は「人の証言は時間とともに変わって…
  continue reading
 
天声人语 11/25 アユの里で 熊本県南部を流れる球磨(くま)川はアユの生息地(せいそくち)として知られる。急流(きゅうりゅう)育ちは筋肉質(きんにくしつ)で、体長(たいちょう)30センチ超の「尺アユ」も珍しくない。だが今年はまるで釣れない。7月の豪雨で流されてしまったからだ▼ 球磨河流经熊本县南部,作为香鱼的栖息地而为人们所熟知。香鱼在湍急的河水中长大,肉质饱满,长度超过30厘米的“盈尺香鱼”也并不罕见。但是,7月的暴雨将香鱼尽数冲走,导致今年的垂钓毫无收获。 「網にかかっても数匹、みな小さい。エサの藻やコケがやられ、残った魚も育ちようがありません」。そう話すのは八代市(やつしろし)坂本町の森下政孝さん(79)。高齢化の進む地元に活気を取り戻そうと、3年前、アユ料理店「食処(しょくところ…
  continue reading
 
天声人语 11/24 もてなしの宴(うたげ) 愛知県警を担当した記者に語り継がれる事件がある。参院選(さんいんせん)で、みそ煮込みうどんなど計2万円相当を有権者にふるまったとしてある陣営が摘発(てきはつ)された。東海地方で育った筆者(ひっしゃ)にはなじみのご当地麺ゆえ、「みそ煮込みで選挙違反か」と驚いた▼ 我从一名曾任爱知县警察的记者那里听过这样一件事。在参议院选举中,有一派因向选民贿赂总计2万日元的味噌乌冬面而被检举揭发。因为我从小在东海地方长大,乌冬面是本地十分常见的面食,所以对此感到十分震惊:“居然还可以用常见的味噌乌冬面来贿赂选民,进而违反选举法”。 もう10年も前の事件だ。当時の記事を見ると、うどん接待を受けたのは有権者13人で、1人あたり千数百円。逮捕された県議は議員バッジを返上…
  continue reading
 
天声人语 11/23 蟻であっても 飛行場に近い公園に寝転び、頭上(ずじょう)を行く機体のエンジン音を聞き比べる中学生2人。つらく出口のない日常から飛び立つ日を夢みる。公開中の映画「滑走路」にそんな場面があった▼ 正在上映的电影《滑走路》中有这么一幕:两位中学生在机场附近的公园里躺着,听着飞过头顶的飞机引擎声,将它们一一比较。他们梦想着有一天能够飞离这痛苦又无尽的日常生活。 萩原(はぎはら)慎一郎さんの歌集『滑走路』から生まれた映画である。〈非正規(ひせいき)の友よ、負けるな ぼくはただ書類の整理ばかりしている〉。働きにくく生きづらい社会を独特の感性で切り取り、将来を期待されながら、歌集刊行(かんこう)を待たずに32歳で早世(そうせい)した▼ 这部电影诞生于萩原慎一郎的短歌集《滑走路》。“各…
  continue reading
 
天声人语 11/22 個人的には、ということ 個人的には……。わざわざそう断ってから発言する人がやけに多いように感じる。気のせいだろうか。「私はこう思う」と単に言えばいいのに、なぜかこの表現がよく使われる▼ “就我个人而言……”,不知是否是我的错觉,似乎许多人在说话前总要特意加上这么一句铺垫。明明只要一句“我觉得”便足矣,但为何人们频频使用这种表达方式呢? それなら今までの話は何だったのか。まさか何かの組織を代表していたわけでもあるまい。疑問に思って同僚に尋ねると、本来の意味とは違って「相手の気に障る(さわる)かもしれないけどこれだけは言っておこう」といったときに使うという▼ 若是如此,那么之前的发言又是什么呢?发言者也并非代表某组织发言。疑云满腹的我询问了我的同事。据他介绍,“就个人而言”…
  continue reading
 
天声人语 11/21 会食指南 世の中には変わった師匠がいるもので、「あくび指南所」(しなんじょ)の看板を掲げて稽古をつけてやろうというのが、落語の「あくび指南」である。秋は月を見ながら、冬は炬燵(こたつ)でと四季折々のあくびがあるが、入門編は夏の船中(せんちゅう)のあくびだ▼ 落语《哈欠指南》中有一个奇怪的师傅,挂着“哈欠指南”的招牌,专门指导人们打哈欠。秋天哈欠的设定场景是赏月,冬天哈欠的设定场景则是坐在被炉周围,如此,四季的哈欠各不相同。而入门级的哈欠场景设定在夏天的船中。 体をゆすって船の気分を出し「おい、船頭さん、船を上手(うわて)のほうへやってくんな」など台詞(せりふ)も決まっている。「船もいいが、一日乗ってると、退屈で……退屈で……」とここであくび。入門者は無理に出そうとするが…
  continue reading
 
天声人语 11/20 奇っ怪な英語 SF作家小松左京の『明日泥棒』に、奇っ怪(きっかい)な日本語をしゃべる宇宙人が出てくる。ゴエモンと名乗るこの人物は、様々な話し言葉を大急ぎで棒暗記(ぼうあんき)したとのことで、登場からこうだ。「コンツワ! けっこうなお天気でありおり侍(はべ)り」▼ 在科幻小说作家小松左京的作品《明日小偷》中,有一位日语奇奇怪怪的外星人登场。他自称五卫门,并临时死记硬背了一些口头表达,导致登场一开口便是“你嚎!今天天气真好哉” 上は洋服で下はハカマという珍妙(ちんみょう)な格好も、彼なりに日本を研究した結果だ。郷に入れば郷に従えと言おうとして「汝(なんじ)らの国の諺(ことわざ)に、ゴーにいればストップにしたがえと……」。実は恐るべき超能力の持ち主なのだが▼ 他上穿西装下着日…
  continue reading
 
天声人语 11/19 小春日和の挿話 劇中劇は、物語に彩り(いろどり)を添える。ケストナーの児童文学『飛ぶ教室』では、ドイツの寄宿舎(きしゃくしゃ)の少年たちが創作劇の稽古(けいこ)をする。クラス全員が飛行機に乗って世界を回り、現地で授業をするという楽しげな劇である▼ “剧中剧”,可以为故事情节添姿加彩,这里是指,少年们本身是剧中的主人公,而该剧情节中里也有他们排练戏剧的故事。作家卡斯特纳所著的《会飞的教室》是一部儿童文学,讲述德国一群寄宿在学校的少年们自编自演的一场戏,剧情十分有趣:全班同学乘坐飞机,周游世界,在当地上课。 あるときはイタリアのヴェスヴィオ火山に飛び、燃え立つ炎をながめながら、噴火(ふんか)で滅んだ古代文明を学ぶ。またあるときはエジプトのピラミッドに降り立ち、ミイラに出合う…
  continue reading
 
天声人语 11/18 パンとサーカス ローマていこくのこうていのなかには民衆(みんしゅう)の機嫌を取るために娯楽(ごらく)の提供に励む者たちがいた。それを象徴(しょうちょう)する言葉が「パンとサ一カス」である。サ一カスとは曲芸(きょくげい)ではなく、戦車(せんしゃ)競走(きょうそう)で用いられた楕円(だえん)形のコ一スを指すのだと、西洋史家本村凌二(りょうじ)さんの著書に教(おそ)わった▼ 在罗马diguo的历代huangdi中,有为了使民众开心而致力于提供娱乐项目的统治者。象征这一现象的词语为“面包与竞技场(circus)”。西洋史学家本村凌二在其著作中称,这里circus一词并非杂技,而是指战车竞速中所使用的椭圆形赛道。 馬に引かれた戦車が疾走(しっそう)するレ一スを観衆が楽しんだという…
  continue reading
 
天声人語 11/17 下駄を預ける 比喩(ひゆ)表現を使いつつ、さていつまで通用するだろうと思うことがある。例えば「下駄(げた)を預ける」。相手に物事の処置を任せる意味だが、下駄も見なくなったし、お店などで履物(はきもの)を預ける習慣(しゅうかん)も減った気がする▼ 当我使用一些比喻时,有时会想,这些词到底能用到什么时候呢?比如“寄存木屐”一词,它的意思是将一切事务委托他人处理。然而如今木屐逐渐淡出人们的视野,寄存鞋子的店铺也有所减少。 「すきま風が吹く」はどうだろう。恋人や夫婦の間でよく吹くものだが、現実のすきま風は家屋(かおく)の密閉性が高まるにつれて減っている。〈♪傷ついてすきま風知るだろう〉という杉良太郎(すぎりょうたろう)さんの名曲も今なら生まれていたかどうか▼ 再比如“缝隙来风”…
  continue reading
 
天声人语 11/16 坂田藤十郎さんを悼む(いたむ) 日本文学者のドナルド・キーンがその舞台を京都で目にしたのは、1953年だった。「私が歌舞伎に開眼(かいがん)したのはこの時だった。そして、最初に魅了されたのは女形(おやま)であった」。著書『能・文楽・歌舞伎』にそう記している▼ 1953年,日本文学研究者唐纳德·基恩在京都第一次欣赏了坂田藤十郎的表演。后来,基恩在其著作《能剧、文乐、歌舞伎》中写到:“那天,我明白了何为歌舞伎之美。而且,最先令我着迷的是其中的‘女形’。” 演目(えんもく)は、近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)作の「曽根崎(そねざき)心中」。主人公のお初(おはつ)を演じた女形は二代目中村扇雀(せんじゃく)、後の四代目坂田藤十郎(とうじゅうろう)さんである。目を奪われたのはキ…
  continue reading
 
天声人语 11/15 セイタカアワダチソウは…… セイタカアワダチソウは律義者(りちぎもの)である。身近(みぢか)な自然についての著作(ちょさく)が多い菅野徹(すがのてる)さんがそんなふうに書いていた。24年にわたり横浜の自宅近辺(きんぺん)で開花時期を記録したところ、うち21年間は9月末日(まつじつ)からの4日間に収まったという▼ 菅野彻曾写过诸多关于身边的大自然的著作,他曾写道“一枝黄花是非常遵守花期的花中君子”。他在横滨的老家附近历时24年观察一枝黄花的开花期,结果发现21年间此花就只在9月30号到10月3号的这四天开花。 だからカレンダーがなくても「9月は終わり、10月が来た」とわかるのだと(『町なかの花ごよみ鳥ごよみ』)。強い繁殖力(はんしょくりょく)ゆえに疎んじられることもある野…
  continue reading
 
天声人语 11/14 卵を胸に 優優良良良良良良良良良良可可可可。これは1951年春の小柴昌俊(こしばまさとし)さんの全成績である。「東大の物理学科をビリで卒業したと言っても信じてもらえない」。母校(ぼこう)で講演した際、自分の成績表をスクリーンに映し出した▼ 回母校演讲时,小柴昌俊将自己的大学成绩单投映在屏幕上,展示给众人。优秀、优秀、良好、良好、良好、良好、良好、良好、良好、良好、良好、良好、及格、及格、及格、及格。这便是他1951年春季学期的所有成绩。他告诉大家,就算说自己是以东大物理学专业最后一名的成绩毕业的,也没人会相信。 訃報(ふほう)に接して自伝を読み直すと、若いころは幾度(いくど)も逆風を浴びている。父のような軍人か、チャイコフスキーのような音楽家にあこがれたが、小児まひ(し…
  continue reading
 
天声人语 11/13 早すぎた疫学者(えきがくしゃ) 感染拡大のさなかは外食や芝居、習いごとを控えるべし。物品(ぶっぴん)の贈答(ぞうとう)は断り、古着(ふるぎ)は一夜水に浸して洗うこと……。江戸後期の甲州に「3密回避」や「外出自粛」「隔離」を説く医者がいた▼ 传染高峰期应暂停外出就餐、看戏和学艺。不要互相赠送物品,穿过的衣服用水浸泡一夜再清洗……。早在江户后期,甲州的一位医者便已经提出了类似“远离三密(密闭空间、密集人群、近距离对话)”、“自觉在家禁足”以及“隔离”的主张。 漢方医の橋本伯寿(はくじゅ)。長崎で蘭学者に師事(しじ)し、中国や日本で病疫がどう広まったか内外の医書や史書を読みあさる。天然痘、麻疹(はしか)の本質は人から人への「伝染」だと見抜き、体内の「生気」がそれら体外の「毒気…
  continue reading
 
天声人语 11/12 ある骨の物語 不思議な写真がある。角(つの)が絡み合ったまま息絶えたヘラジカ2頭の骨だ。激しく闘い、外れなくなったのだろう。撮影したのは24年前に亡くなった写真家星野道夫さん。この1枚から今秋、絵本『あるヘラジカの物語』が生まれた▼ 这是一张让人难以置信的照片:照片中是两头驼鹿的头骨,它们在死前可能经过了激烈的争斗,以致于它们的鹿角紧紧纠缠在一起,无法分开。这张照片是离世24年的摄影家星野道夫的作品,今年秋天,以该照片为背景的绘本《一只驼鹿的物语》正式出版。 作者の鈴木まもるさん(68)を静岡・伊豆に訪ねた。「昨夏(さくか)の深夜、ずっと昔に見たあの写真を夢でみたんです」。星野さんとは家族ぐるみの付き合い。布団から飛び出すと一心に鉛筆を走らせ、徹夜で草案を仕上げた▼ 我…
  continue reading
 
天声人语 11/11 平安朝の秋 平安朝を生きた藤原道長(ふじわらのみちなが)は10月28日、鎌倉(かまくら)時代の藤原定家(さだいえ)は11月7日、江戸後期の頼山陽(らいさんよう)は11月11日。どれも京の都で紅葉をめでた日付を現代の暦に換算したものである。いまの紅葉シーズンに比べるとかなり早い。 关于京都赏红叶的日子,平安时代的藤原道长写的是10月28日,镰仓时代的藤原定家为11月7日,而江户时代后期的赖山阳则写的是11月11日。这些都是换算成公历后的日期,相比与现在的红叶季要早得多。 公家(くげ)や文人たちの日記から紅葉の時期を推定したのは、農業気象学が専門の青野靖之(あおのやすゆき)・大阪府立大准教授(58)。「古い文献(ぶんけん)が多く残る京都だからこそ調べられました」。紅葉をめぐ…
  continue reading
 
天声人语 11/10 56連敗のスピリッツ 選手は本意でないだろうが、負けることで注目を集めるチームもある。おととい閉幕した野球の東京六大学リーグで東大の連敗は引き分けをはさんで56に伸びた。過去最多の94ほどではないものの、新チームは勝利を経験した選手が不在で迎えることになる。▼ 虽然可能并不是选手们的本意,但是有的队伍却因失败而备受关注。就在前天,东京六大学棒球联赛落下帷幕,算上平局东大已连败五十六场。虽然没有达到历史最多的九十四连败,但是随着一些有成功体验的选手的退出,新的队伍还是迎来了连败。 手をこまぬいてきたわけではない。今年度は東大から初めてドラフト指名され中日で活躍した井手峻(たかし)監督(76)が指揮をとった。引き受けた当初はそのレベルに驚いたという。▼ 东大并没有因此作罢,…
  continue reading
 
天声人语 11/8 最古の民主主義 アメリカという国は変わった政治をしているらしい。そんな情報は江戸期の日本にも徐々に入っていた。漂流(ひょうりゅう)して米本土で一時暮らしたジョン万次郎から聞き取った書物(しょもつ)がある。「才能や学識(がくしき)を持った多くの人のなかから、これぞと思える人物を選んで大統領とする……」▼ 美国政治模式与日本的有所不同。这一点在江户时期就已经慢慢传到了日本。约翰万次郎曾漂流到美国,在那里生活了一段时间。根据万次郎的口述整理而成的书中写道:“(在美国)人们会从一众才华横溢、学识渊博的人中选拔一个最合适的人来担任大总统……” 任期は4年だが「その人の徳が高く、政治力も抜群(ばつぐん)であるならば、任期を重ねてその職を続けることができる」(『漂巽紀略〈ひょうそんきり…
  continue reading
 
天声人语 2020/11/7 田沢ルールと脱藩 江戸時代、自分の藩を勝手に抜け出す「脱藩」(だっぱん)は犯罪行為だった。司馬遼太郎は『竜馬がゆく』の中で、坂本竜馬脱藩直前の場面に姉を登場させ、こう語らせた。「脱藩すればもう二度とお国に戻って来れませんよ」▼ 在江户时代,擅自脱离所属藩国——即“脱藩”,属于一种犯罪行为。在司马辽太郎所著的《龙马风云录》中,主人公坂本龙马准备脱藩前,他的姐姐对他说:“一旦脱藩,就再也无法踏入藩国了。” きょうだいや親類と生涯会えなくなり、藩に残る一族にも大変な迷惑をかけるのだと。さてこちらも、まるで幕藩体制(ばくはんたいせい)のようなと言いたくなる。プロ野球についこの間まで存在したルールのことだ▼ 据说脱藩者在脱藩后,一生都无法与兄弟及亲人相见,其留在藩国的家族…
  continue reading
 
天声人语 11/6 木枯らし1号 木の葉の色づきにも順番があって、毎日街路樹(がいろじゅ)を眺めていると、紅葉のリレーのようだ。サクラの葉が散ったと思うと、ハナミズキの葉がワインレッドに染まっている。その木も寂しくなった今はイチョウの黄色に目を奪われる▼ 树叶染色也有其自身的顺序。每天眺望街道两旁的树木,宛如红叶的接力。樱花树叶一散,四照花的叶子便染上了酒红。如今,银杏的金黄夺人瞩目,衬得萧疏的四照花都失了颜色。 絵のように美しい。口をついて出てくる紋切り型(もんきりがた)の表現に真理がある。画家たちが切り取りそうな、そんな一瞬を目にした幸福である。東山魁夷(ひがしやまかいい)が画集に添えた文で、晴れた日の紅葉の鮮やかさを述べたあとに、こう続けていた▼ “美如画卷”这种千篇一律的赞美的确有它…
  continue reading
 
むかしむかし、京の都に、源博雅(みなもとのひろまさ)という、とても笛の上手な人がいました。  その頃、都では集団の泥棒がいて、人々は大変困っていました。  ある晩の事、博雅(ひろまさ)の屋敷にも集団の泥棒が押し入りました。  泥棒たちは手に手に、弓や、なぎなたを持っています。 「みんな、すぐに隠れるんだ! 見つかっても決して抵抗はするな!」  博雅の言葉に、召し使いたちはみんな思い思いのところへ逃げたり隠れたりしました。  博雅も縁の下に隠れて、ジッと息を潜めました。  やがて泥棒たちは、品物やお金を取って出て行きました。  博雅は縁の下からはい出すと、 「行ってしまったらしい。みんな、出てきても大丈夫だ」 と、召し使いたちに声をかけました。  さいわいみんなは無事で、怪我人もいません。 「…
  continue reading
 
坂本真绫欧洲游记—From Every Where 9-3 20歳で初めて海外に行ったときは電子辞書が手放せなかった。ロンドンでレコーディング。現地のスタッフやミュージシャンに直接気持ちを伝えたいと思っても、文法が間違ってないか、発音がおかしくないか、こんなこと言って笑われないかって、そればかり考えて。自分から話しかける勇気もなかなか持てなかった。だけど彼らは私の英語力にお構いなく「どうしたい?」「どう思う?」「この曲はどんな歌詞?」とまっすぐ目を見て聞いてくる。 そして良いと思ったときには、ワンダフル、ファンタスティック、ジーニアス、ストロング、フレッシュ、ビューティフル、ラブリー、そんなキラキラした単語をたくさん使って伝えてくれる。人を褒めると言うことに照れがない、それはお国柄の違いって…
  continue reading
 
盗っ人小僧 むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。  ある日の事、彦一は殿さまのお使いで、船に乗って遠くの島に行く事になりました。  そしてその夜は、船で寝る事になりました。 (さて、そろそろ寝るとするか) と、思ったその時、 「海賊だー!」 と、言う叫び声がしました。  海を見てみると、手に手に武器を持った海賊が乗る海賊船が、もう間近まで迫っています。 「大変だー! 奴らに身ぐるみはがされるぞ!」 「大切な物を早く隠すんだ!」  お客たちは持っている金や大切な物を、どこに隠そうかと大騒ぎです。  でもどこに隠そうと、海賊は隠した物を見つけてしまうでしょう。  そこで彦一は台の上に乗って、大きな声で言いました。 「みんな、落ちついて! 海賊はどこに隠しても見つ…
  continue reading
 
ぽぽの随筆 「国際母語(こくさいぼご)の日」から<1> こんにちは。 雨水(うすい)も過ぎ、花粉(かふん)が飛び始めているとのニュースが出ています。今年の花粉は例年より早く多く、花粉症(かふんしょう)の人は対策(たいさく)を十分にということです。私も花粉症があるので対策を十分にと言われても困ります。 さて、今日2月21日は「国際母語(こくさいぼご)の日」です。ウキペディアによると、―――言語(げんご)と文化の多様性(たようせい)、多言語(たげんご)の使用、そしてあらゆる母語の尊重(そんちょう)の推進(すいしん)を目的として、国際連合教育科学文化機関(こくさいれんごうきょういくかがくぶんかきかん)(ユネスコ)が1999年11月17日に制定(せいてい)した、国際デーのひとつである。―――というこ…
  continue reading
 
ぽぽの随筆 バレンタインデー こんにちは。 晴れたり降ったり、暖かかったり寒かったり、春の花が咲いたかと思えば雪がちらついて、季節がよくわからなくなるような今日この頃です。 さて、今日は2月14日、バレンタインデーです。クリスマスと同じように、元々(もともと)はどういった日だったのか気にする人もなく、世間(せけん)ではそわそわと浮立(うきた)った様子です。デパートやケーキ屋などではもう3週間くらい前からバレンタインチョコの特設(とくせつ)コーナーができて、色とりどりのチョコレートが並んでいます。私が先日チョコを買いに行った時には、高校生の女の子たちがそこでにぎやかに品定(しなさだ)めをしていて、とても微笑(ほほえ)ましく思いました。 日本の文化や流行に詳(くわ)しいみなさんならご存知でしょう…
  continue reading
 
ぽぽの随筆 さあ、今日から こんにちは。 立春(りっしゅん)も過ぎ、暦(こよみ)の上では暖冬(だんとう)と言われた冬も終わり、春になりました。ところが最近は思いのほか寒く、満開(まんかい)になった白梅(しらうめ)に冷たい風や霰(あられ)が当たるのが見るに忍(しの)びない、そんな日々が続いています。 さて、春節(しゅんせつ)はいかがでしたか?私たちの公衆号は今日からまた更新を再開し、みなさんと一緒に日本語学習(がくしゅう)の時間を共有(きょうゆう)していくことになりました。みなさん亥年(いどし)もまた、よろしくお願いします。 私たちの公衆号直通霓虹は、メンバーも少なくそれぞれ仕事があり、公衆号専属(せんぞく)というわけにはいきません。公衆号の運営(うんえい)にしろコンテンツにしろ、自分たちは何…
  continue reading
 
ぽぽの随筆 春節も近づきました こんにちは。 玄関先(げんかんさき)の白梅(しらうめ)はもう半分以上咲いて、庭の白梅が5、6輪(りん)開いたでしょうか、それに裏山(うらやま)の梅も咲いたらしく、裏で洗濯物を干しているとほんのりと香りが漂ってとても爽やかな気分になります。 さて、春節(しゅんせつ)も近づいてきましたね。早い人だと来週には休暇に入るのではありませんか。春節期間の鉄道や飛行機のチケットは年々取りにくくなっているようですが、親孝行(おやこうこう)な中国の人たちは、大変な思いをしてもせめて一年に一度は家に帰りたいという気持ちが強いのだと思います。 お父さんお母さんの顔が見たい、おばあちゃんの得意料理が食べたい、ふるさとの友達に会いたい、孫の顔を見せてあげたい、そういう理由もあるでしょう…
  continue reading
 
ぽぽの随筆 カレーの日 こんにちは。 家の白梅(しらうめ)が綻(ほころ)んで、得(え)も言(い)われぬ清(きよ)らかな香りを漂(ただよ)わせ始めました。水仙にしろこの白梅にしろ、寒い頃に咲く花の香りはどうしてこうも潔(いさぎよ)く凛(りん)としているのでしょう。冬に咲く覚悟(かくご)が感じられるようです。 さて、今日1月22日は「カレーの日」なんだそうです。 1982年のこの日、全国学校栄養士協議会(ぜんこくがっこうえいようしきょうぎかい)で学校給食(きゅうしょく)創立35周年を記念して、1月22日の給食(きゅうしょく)のメニューをカレーにすることに決められ、全国の小中学校で一斉(いっせい)にカレー給食が出されたことにちなんで定(さだ)められました。 ということで、今夜はカレーにしようかな(…
  continue reading
 
ぽぽの随筆 姪のおめでた こんにちは。 もうすぐ大寒(だいかん)、本来(ほんらい)ならば一年で一番寒い頃です。さすがにこの一両日(いちりょうじつ)は少し冷え込んではいますが、それでもこれで大寒かと首(くび)をかしげるような冬の暖かさです。 さて、センター試験を間近(まぢか)に緊張の日々を送っていましたが、久しぶりにほっと明るいうれしいことがありました。姪(めい)のおめでたです。主人のほうの姪で、アメリカにいる上の姪のところにはすでに二歳になる子供がいるのですが、今回のおめでたは下の姪です。去年日本に旅行に訪れた、日本語を勉強していたこの姪は小さい頃からずっと可愛がっていました。 weixinで「哺乳瓶(ほにゅうびん)が買いたいんだけど」とメッセージが入り、「え?おめでた?」と返したところあと…
  continue reading
 
ぽぽの随筆 平成(へいせい) こんにちは。 最近は本当に暖かく、もうこのまま春になるのではないかと思うほどです。今日は天気が崩(くず)れ、昨日までの明るい太陽は見られませんが、寒い寒いと口では言いながら気温は10度を超えています。 さて、今年の4月30日で31年間に渡った平成(へいせい)の時代が終わります。テレビでもなんでも、なにかというと「平成最後の~~」とうるさく感じるほどです。少し前に終わったお正月恒例(こうれい)の大学駅伝(えきでん)でも春高(はるこう)バレーでも高校ラグビーやサッカー選手権でも、優勝者(ゆうしょうしゃ)は「平成最後のチャンピオン」と呼ばれました。 1989年1月7日に昭和天皇が崩御(ほうぎょ)し、たった一週間の昭和(しょうわ)64年が終わり、翌日から平成元年(がんね…
  continue reading
 
ぽぽの随筆 忙しくなってきた 庭の白梅(しらうめ)の蕾(つぼみ)が日に日に膨(ふく)らんできています。最近はまた少し冷え込んでいますが、やはりこの冬は暖冬(だんとう)らしく、ネットで買った雪かきショベルはまだ一度も使っていません。まあ、使わないに越(こ)したことはありませんが。 さて、センター試験まで十日(とおか)を切(き)りました。最終的に志願(しがん)を私立大学に絞(しぼ)った息子にとっては、全ての大学の出願(しゅつがん)が始まり、忙しくなってきました。今はWEB出願がほとんどですが、便利なようで却(かえ)って昔より用意することが増えていて面倒(めんどう)だという印象を持ちました。 受験票用の写真は従来(じゅうらい)の紙に印刷された写真が要(い)るところもあれば、写真データが必要なところ…
  continue reading
 
ぽぽの随筆 謹賀新年(きんがしんねん) 明(あ)けましておめでとうございます。 昨年中はこの随筆に「毎日一題」、それに公衆号の他のメンバーの記事をごひいきにしていただき、ありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 日本海側にしては珍しく、好い天気のお正月になりました。青空が広がり、まぶしい日差しがいっぱいに地上に注(そそ)いでいます。一年の始まりがこんなに明るく爽(さわ)やかだと、なんだか今年はいいことがありそうな気になります。 さて、年越しの様子をざっと書きますと、大晦日(おおみそか)の夜には年越しそば(重いそばアレルギーの息子はうどんで代用)を食べ、日本レコード大賞(たいしょう)と紅白歌合戦(こうはくうたがっせん)を観て、「ゆく年くる年」を観ながら出かける準備をして…
  continue reading
 
冬至 日南の限りを行て日の短きの至りなれば也。 一年でもっとも昼の長さが短くなる冬至。町も山々も早々と暮色に染まります。良くないことが続いた後、幸運に転じることを「一陽来福」と言います。 冬至もまた「一陽来復」、この日を境に日が長くなることから、昔の人々は冬至を冬のどん底とし、ここから太陽の光が復活して、春に向かうと考えていました。今年うまくいかなかったことも、来年はいい方向に向かうかもしれませんね。一年の計は元旦にあり、日本人はお正月をことのほか大切にしてきました。年神様が降りてこられる目印を立てたり、神聖な場所を作ったり、お供え物をして、それぞれの家にお迎えします。お正月は新年の神様、年神様にその年の幸運を授けていただく日。一年の間に訪れる様々な行事、その由来を知るともっと楽しく過ごせる…
  continue reading
 
大雪 雪いよいよ降り重ねる折からなれば也。 何もかもが寒さに埋もれ凍てつくこの頃。生き物は活動を止め、それぞれの場所に籠ります。この[冬籠り」は万葉集で春にかかる枕詞。冬枯れに身を潜め、じっと春を待つからこそ、春が訪れた時の喜びや一入、そんな思いが込められていたようです。四季のある日本では、巡ってくる季節を待つこともまた喜びなのかもしれません。古来より師走は全ての仕事を成し終える、あわただしい月。京都には十二月十三日からお正月の準備を始める「正月事始」の慣わしがあります。新年に年神様をお迎えするため、この日から一年間の煤を払い、家の中を掃き清めます。昔の人々にとって、一年の始まりと言うのは、本当に大事だったんですね。冬来たりなば、春遠からじ。年の瀬が押し迫った京都は、迎春の華やかな雰囲気に包…
  continue reading
 
小雪 冷ゆるが故に雨も雪となりて、くだるがゆへ也。 役目を終えた木々の葉は、冷たい木枯らしに吹かれ、舞い落ちます。この世のものにふれ、ふっと込み上げるしみじみとした情感を「もののあはれ」といいます。萌え出れば、やがて散りゆくその定めは、昔から人々の心を揺り動かしてきました。それは、移ろう季節の中で生きてきた日本人ならではの感動なのかもしれません。瑞穂の国、日本には穀物の恵みに感謝する心があります。その年の豊作を神様に感謝する新嘗祭は、一年で最も大切な行事の一つ。収穫した穀物をお供えし、その後、皆でいただくならわしです。昔は、新嘗祭が終わるまで、誰も新米を食べなかったといわれます。豊かな実りは、心の中にある感謝の気持ちがもたらしてきたのかもしれません。そろそろ雪の便りも届くころ、本格的な冬の到…
  continue reading
 
立冬 冬の気立ち初めて、いよいよ冷ゆれば也。 冷たい風が吹いたかと思えば、時折、うららかな陽気があって、ほっと和むこともあります。晩秋から初冬にかけて見られるこの穏やかで、暖かい天気は、春の陽気に似ていることから、「小春日和」と呼ばれます。冬の中に、春を感じ取ることができるなんて、なんだかうれしいですね。古来より、日本には季節や人生に訪れる節目というものがあります。子どもの大事な節目の年に、その健やかな成長を祝うのが七五三。昔は、子どもが早くに亡くなることが多く、「七つまでは神のうち」といわれました。七五三は七歳まで無事に生きた子どもの成長を神様に見せて、感謝する意味もあったそうです。人生って愛しい、その思いがいくつもの節目を生み出してきたのかもしれません。まだ、冬は訪れたばかり、ひと風ごと…
  continue reading
 
霜降 露が陰気に結ばれて、霜となりて降るゆへ也。 秋との分かれを惜しむかのように、艶やかに色付く都の山々。平安時代、狩りをしなくなった貴族たちは、野山をめぐり、自然を愛でました。その様子が狩りに似ていたことから、紅葉を眺めることを「紅葉狩り」というようになったそうです。自然を追い求めるその心が、言葉になって、今に残っていたんですね。そろそろ火が恋しくなってくる季節。京都には旧歴10月初めの「亥の日」に、炬燵や火鉢に火入れをする風習があります。十二支の一つ猪は火を鎮める動物とされ、「亥の日」に火入れをすると火事が起こりにくいと信じられてきました。偶には、先人たちの声に耳を傾けると、なんでもない日が特別な日になるかもしれません。女心と秋の空、晴れたり時雨れたりしながら、季節は冬へ移り変わります。…
  continue reading
 
陰寒の気に合って、露むすび凝らんとすれば也。 澄んだ秋の夜空に、ひときわ美しく輝く、十三夜の月。満月の十五夜と違い、少しかけた月は、古来より、日本人にとって特別な月でした。平安時代、時の天皇はほかに並ぶものがないほど、美しいと湛え、「無双の月」と賞しています。完全ではない、この慎ましさが、変えて、日本人の心を魅了しさのかもしれません。実りの秋は、感謝の季節。昔、江戸へ行商に出かけた京の商人は、10月20日に京都に戻り、商いの神様ゑびす神に商売の繁盛を感謝しました。これがゑびす講の始まりです。この日は商売上の駆け引きで客を欺いた罪を償う日でもあります。心を澄み渡らせて、また、新しく始める。都の商いは、秋の空と似ていますね。寒さに耐える菊の花がようやく出番と開き始めました。いよいよ秋は終盤へ。京…
  continue reading
 
秋分 陰陽の中分となれば也。 季節の変り目、京の盆地は深い霧に覆われます。平安時代、人々は春と秋、どちらが優れているかを議論しました。春は霞、秋は霧。同じ現象でも微かな趣の違いを捉え、言葉を使い分けています。人の豊かさは、自然を感じ取る力で図られるのかもしれませんね。西の彼方のご先祖様に、思いをはせる、秋のお彼岸。殺生を禁じる仏の教えに従い、肉や魚を使わない、精進料理をお供えします。信仰心の熱い都では、良質の野菜を育て、仏のご膳を継承してきました。何も奪わず、貪らず、そのわきまえた生き方が清らかさのもとになっているのかもしれません。ひんやりと頬を撫でる秋の風、虫たちは早くも冬支度を始めたようです。京都には二十四の季節があります。 秋分 [しゅうぶん]秋分。秋分日。二十四节气之一 霞[かすみ]…
  continue reading
 
陰気ようやく重なりて露にごりて白色となれば也。 朝宿り、たちまち消える朝露は昔から儚いものの例えの一つ。露に似て朝開き昼に凋む可憐な露草、古くは「月草」と呼ばれ、染物の下絵に使われました。水に流れ、跡形もなく消えるこの青は、多くの人々に尊ばれたといいます。今はもう、目には見えない美しさにも思いをはせていたんですね。どの満月も並ぶことのできない唯一の存在、「中秋の名月」。昔、京都の女たちは、この夜、針と糸を持ちました、月明かりを頼りに糠袋を縫うと、裁縫が上達すると言い伝えられていたのです。また一年姿を消すその名月に、新な誓いを立てていたのかもしれませんね。悲喜こもごもの虫の声、夜中の宴は続きます。京都には二十四の季節があります。 白露[はくろ]白露。24节气之一,9月8日左右。 白色[はくしょ…
  continue reading
 
処暑 陽気とどまりて、初めて退きやまんとすれば也。 ようやく暑さが収まるころ、秋の嵐が吹き荒れます。昔、台風は「野分」と呼ばれました。野の草を分けるような強い風。野分が去ると、「風見舞い」といって、親しい人の安否を気遣い、訪問したそうです。互いに慰め、励まし合って、人生の嵐を切り抜けていたのかもしれませんね。京都には古くから子どものためのお盆があります。「地蔵盆」、地蔵菩薩は地獄の鬼から子どもを救うと信じられてきました。各町内にお地蔵様を祀る祠があり、その数は5千にものぼるといわれます。都をあげて、小さな命を大切に守り続けてきたんですね。空気が澄んだ秋の朝、草花に光の滴が宿ります。京都には二十四の季節があります。 処暑[しょしょ]处暑 退き[しりぞき] 野分[のわき]台风;寒风 親しい[した…
  continue reading
 
立秋 (りっしゅう) 初めて秋の気 立つがゆへなれば也。 名ばかりの秋かと思う残暑の頃、昨日とは違う風にはっとすることがあります。西から吹く心地よい涼風は「極楽の余り風」と呼ばれます。この遥か彼方のそよ風を都人たちはいち早く敏感に感じ取ってきました。季節の風に耳澄ませ、人生にも様々な風を呼び込んでいたのかもしれませんね。京都では先祖の霊を「お精霊(しょらい)さん」と呼び、お盆になると丁重にもてなします。お精霊さんをお迎えする「六道まいり」、昔、六道珍皇寺の一帯は、葬儀場で、この世とあの世の境目とされました。冥土まで響く鐘をついて、亡き人々をお呼びします。千年の都には、先人たちの心に通じる場所がちゃんと残されているんですね。お精霊さんを見送れば、街はにわかに秋めきます。京都には二十四の季節があ…
  continue reading
 
大暑 暑気いたりつまりたるゆえんなれば也。 じりじりと身も心も焦がした頃、最も暑い夏の土用がやってきます。その昔、弘法大師はきゅうりに疫病を封じ込めました。この秘法に因み、暑さ疲れの出易い土用にきゅうりで病を封じる習わしが伝えられています。先人たちが残したおまじないには、時を越えて、人々を守る力があるんですね。茹だるような暑さの中、都人たちは愛宕山の山頂を目指します。千日詣、登る人には「おのぼりやす」、下る人には「お下りやす」、すれ違い様に励ましあって参詣し、千日分の火よけのご利益をいただきます。一期一会の喜びは険しい道の途中で生まれるのかもしれませんね。ほんの一瞬、涼やかな風を感じたら、もうそこに小さな秋。京都には二十四の季節があります。 大暑[たいしょ] 大暑。二十四节气之一。 暑気[し…
  continue reading
 
Loading …

快速参考指南